「わたしが放った言葉なのに、自分の耳できいてゾッとしたんです。」
この仕事をはじめて間もないころ、
ある著名人のインタビューに同行させてもらったのを、二月になると思い出します。
もう三年も前のことです。
曽田さんくらい大人になると、現場からみる方がいいかもしれないよ?
ありがたい言葉に、大喜びでついていきました。
実際に、現場に入ってしまえば高揚感より空気にのまれているわたし(笑)
その方はとても低姿勢で、威圧感のないフラットな佇まいの女性でした。
そして何より録音がはじまると、ことばの選び方も話にもぐっと引き込まれたのは言うまでもありません。
3時間ほどの録音がおわり、すこしお話もできたので、お聞きしました。
「なぜ、そんなに丁寧にお話ができるのですか?」わたし
「若いころは、こんな感じじゃなかったんですよ。まだ20代のころですが、なにか勘違いをしていた時期がありまして・・・。親子ほど年上の関係者の方に そこの鏡取ってよ!と言ってしまったことがあったんです。その自分の口から出たことばを自分の耳で聞いたときゾッとしたんです。」女性
そのことを境に、徹底して自身の振る舞いを見直したくなったとか。
奢っていたのではないか?
誰かを無意識に傷つけたのではないか?
悩まれたそうです。
誰もが最初から仕上がっているわけではないけれど、
あれが無かったら気付かなかったかもしれない。
録音では拾わなかったひとつのエピソードに、大きな力をいただきました。
あれから、わたしは仕事で話すようにしています。
自分が放ったことばを自分の耳で聞くのが大切ですよ。と(受け売りですが。)
気をつけていても、うまくいかず
うっかり口から出てしまうときも勿論あります。
大切なのは、意識をおく気持ち。
気持ちがあれば、すこしずつ直っていくはずですよね。
そんなことを思い出した夜でした。